本日、3年生320名が卒業しました。
卒業生のみなさん、いかなる場所に行ったとしても、「強く雄々しく」あり続け、「地の塩」「世の光」として、誇り高き鎮西学院の教えを世に輝かせて欲しいと願っています。
(生徒会誌「敬愛」川﨑 健校長先生「鎮西Sensation~巻き起こせ鎮西旋風!」より一部抜粋)

式 辞
心配された雨も上がり、「雪に耐えて梅花(ばいか)麗し」 西郷隆盛作の漢詩にあるこの一節そのままに、先週までの厳しく長い寒さに耐えて今梅の花が麗しく咲き始め、桜のつぼみも膨らみ始めた春間近の今日の良き日に、校友会会長西川 亨様、PTA会長橋本雅彦様を始め、多数のご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、鎮西学院高等学校第77回卒業証書授与式を挙行できますことを、心より御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、卒業おめでとう!今皆さんの胸の中には様々な思いが去来しているものと推察します。改めて振り返ると、今では夢の中の出来事であったように感じますが、皆さんは新型コロナウイルスの影響が大きく残る中入学してきて、2年生の5月まではほとんどの学校行事も、変更や縮小を余儀なくされた学年でした。しかしそのような中でも、皆さんは自分の進むべき道を見失うことなく確かな足跡を残し、学院に新たな歴史を刻んでくれました。「鎮西Sensation~巻き起こせ鎮西旋風!」という今年の学院スローガン通りに、いたるところで鎮西旋風を巻き起こしてくれました。
一番の旋風は、やはり部活動の活躍だと思います。ビーチバレー競技で園田君・梶山君のペアが2度の全国優勝を勝ち取ってくれたのを始め、高校総体では卓球男女、サッカー女子、バレー男子、駅伝男子と県内最多の5本の優勝旗を勝ち取り、冬の全国大会にもバレー男子、サッカー女子、駅伝男子と県内最多の3クラブが出場して、鎮西学院の名前を県内外にとどろかせてくれました。また、春高バレーの開会式では主将の山本君が「長崎被爆80年の節目の年に平和に過ごせていることに感謝したい」と長崎に生まれ育った者の思いを込めた立派な宣誓をしてくれました。
文化部でも吹奏楽部が県代表で岐阜の全国総文祭やマーチングの九州大会に出場したのを始め、文芸新聞部も九州・全国大会に出場を果たし、筝曲同好会やダンス同好会は地域や学校の行事に大いに貢献するなど活躍してくれました。また、Vファーレン長崎U ―18チームも、ユニフォーム左肩に「鎮西学院」の名を付けて九州や全国で戦ってくれました。福江栞さんは全国レベルの知覧での平和スピーチコンテストにおいて最優秀賞獲得という快挙をなしとげてくれました。
学業面でも、熊本大・九州工業大・佐賀大・大分大などの国公立大に加え、防衛大学校一次試験に過去最多の18名合格、同志社、関西学院2、明治学院2、西南学院3・福岡大4など私立大学でも堂々たる結果を出し、駅伝の強豪駒澤大に牟田兄弟が進むので今から箱根駅伝で活躍してくれる日が楽しみです。グローバルイングリッシュコースは、英検準1級に4名合格。公務員関係も、6年連続の長崎県庁2名を始め、長崎・諫早両市役所、11年連続の長崎県警6名を含む警察関係8名、税務職員、海上保安学校、刑務官など一般職20名合格、自衛官の24名と合わせて計44名も合格してくれています。一般就職も14年連続就職率100%を達成してくれました。これらはまさに、皆さんの日ごろのたゆまぬ努力が大きく花開き、実を結んだものであり、心からの敬意を表したいと思います。
同時に私は、目立たなくとも、大きな声で挨拶してくれた人、一生懸命掃除してくれた人、「荷物持ちましょうか?」と声をかけてくれた人、留学生に寄り添ってくれた人、鎮西の代表として入学試験に臨んできますと力強く宣誓してくれた人、私の家内が退職すると知り最後のレッスンの後に泣きながら一緒に荷物を持って歩いてくれた人、一昨年亡くなられた茂先生との約束を果たすために生徒会長に立候補してくれた人、病気のお母様を励ますためハレルヤコーラスの伴奏を志願し朝も夕も練習を頑張った人、そのような人たちにも同じように心からの敬意と感謝を表したいと思います。校長をしていると、何のために教師になったんだ?と思い悩むこともよくありますが、皆さんのそういう優しさやひたむきさにどれだけ救われたかわからないからです。この学院にはそのように明るくて素直で心優しい生徒たちが溢れています。
さて、そのような皆さんは学院を卒業していくにあたり、「鎮西でよかった」と感じてくださっているでしょうか?私たち教職員は卒業の日にそう思ってほしくて、入学式の時に約束した通り、皆さん一人一人を神様からの賜物として大切に育て、そして未来で花咲けと種を蒔いてきました。その思いは届いているでしょうか? 少し不安です。でも、昨日配布された生徒会誌「敬愛」にこんなことを書いてくれた人がいました。「3年前の私、鎮西選んで大正解!そう思える毎日をみんなありがとう!」 読んでいて胸が熱くなり、何か救われた気がしました。一人でも多くの人たちが同じように思ってくれていると嬉しいですし、今はそうは思えなくてもきっといつか蒔いた種が花咲くと信じたいと思います。
最後に聖書の言葉を贈ります。先ほど鐵口宗教主任に読んでいただいた、ヨハネによる福音書15章5節「私はぶどうの木、あなた方はその枝である。人が私に繋がっており、私もその人に繋がっていればその人は豊かに実を結ぶ。私を離れては、あなた方は何もできないからである。」皆さんの鎮西学院における最大の出会いは「神との出会い」です。毎日聖書に触れ賛美歌を歌うことで少しずつ変えられ、今の皆さんがあります。
これからの世界はトランプアメリカ大統領の再登場で益々混迷を深めていくと推測され、明るい兆しは見えません。だからこそ、卒業してもどこかで神に或いは鎮西学院の教えに繋がっていてほしいと願います。そうすれば、何か不安に襲われるようなことに遭遇しても、必ず心に平安がもたらされ、新しい道が示されると信じるからです。神から離れず、誇り高き鎮西学院の卒業生として、「人にしてほしいと思うことを人にしてあげられる」そんな美しい心を失わず、それぞれがおかれた場所で「地の塩」「世の光」となり、欠かせない存在として活躍してくれることを心から願っています。
保護者の皆様方におかれましても、本日は誠におめでとうございます。この3年間本校の教育方針を深くご理解いただき、物心両面に亘り多大なるご支援をいただき、心より感謝申し上げます。特に始めの1年間はコロナウイルスに加え、台風や豪雪などの大自然の脅威にさらされ、休校や時限の変更をせざるを得ませんでしたが、皆様におかれましては、不平や不満を言わず、常に学院の一番の良き理解者でいてくださり、感謝の気持ちしかございません。正直皆様にご満足いただける教育を提供することができたかどうかはわかりませんが、本日の卒業生たちの立派な巣立ちの姿に免じて、足らざる点はお赦しいただければ幸いに存じます。
さて、いよいよお別れの時となりました。卒業生320名の未来に、神様が常に共にいてくださり、くじけそうなときも一人ひとりを支え、助け、導き、卒業生一人一人が幸多き人生を歩まれることを祈念して、式辞といたします。
皆、鎮西を選んでくれてありがとう!どうかいつまでも、この友を、この仲間を、この恩師を、そしてこの鎮西学院を忘れないでください。私も3月で41年間お世話になったこのこよなく愛する鎮西学院高校を皆さんと共に卒業します。今まで出会った多くの卒業生そしてここにいる皆さんと過ごした日々は私の宝物、一生大切にします。いつまでもお元気で!またどこかで会いましょう!
2025年2月28日 鎮西学院高等学校 校長 川﨑 健
